在中国日本大使館経済部 中国経済週報(2021.4.1~2021.4.7)

2021/04/12

党中央の動き

  • また会議は、市場主体の活性化・行政簡素化改革を更に推進する措置を打ち出した(注)。

(注)①就業環境の改善(フレキシブルワーカーの職業傷害保障の試行等)、②企業の審査・批准の簡素化(商標特許登録の申請の全プロセス電子化・通関検査率引下げ・港湾の費用徴収引下げ等)、③内需拡大支援(違法に設置された中古車の転入制限の整理・旅行民宿などの市場参入緩和等)、④民生サービスの改善(省間の共通化サービスの増加や社会資本の導入による老人介護施設の運営とサービスの質向上等)、⑤公正な監督・管理の推進。

  • 3 月 31 日、国務院国有資産監督管理委員会は、化学大手の中国中化集団と中国化工集団の経営統合を発表した。総資産 1 兆元以上、従業員数 22 万人規模の巨大企業となる。

(注)2016 年に国務院が発出した同問題の解決工作方案によれば以下のとおり。①国有企業による学校運営や病院運営は、基本的に地方政府に移譲された。②しかし依然として多くの国有企業が社会機構を運営し、定年退職者の社会的管理や大規模な組織運営を行っており、人員管理や運営費用負担が重いことが、国有企業の発展を深刻に阻害している。②この問題を解決して国有企業の軽装を促進し、本業に資源を集中させ公平に競争に参画させねばならない。

産業・エネルギー関連等

  • 3 月 31 日、工業信息化部・農業農村部・商務部・国家エネルギー局は連名で「農村における新エネ車普及活動」を発表した。概要は以下のとおり。

(1)本年 3 月-12 月に、「グリーン・低炭素・スマート・安全」をテーマに、地方都市・新エネ車関連企業によるキャンペーン・イベントを展開。対象は、山西・吉林・河南・湖北・湖南・広西・重慶・山東・江蘇・海南・四川の地方都市(三線・四線都市)。  (2)新エネ車関連企業には、4 月末から始まる EC 販促イベント「双品網購節」に参加し販促活動を行うことを奨励。

(2)各地方政府には、農村における充電施設の設置等の支援策を奨励。

国家エネルギー局が再エネ発電容量比率を発表

  • 3 月 30 日、国家エネルギー局は概要以下を発表した。

(1)中国の再生可能エネルギー(水力・風力・太陽光・バイオ燃料)の総発電設備容量(キャパシティ)は、昨年末時点で 9.3 億 KW。全体に占める割合は 2012 年時点から+14.6 ポイントの 42.4%(注)に達し、開発・利用規模で世界一を維持した。

(2)今後再生可能エネルギーの開発を更に強化し、新エネルギーを主体とする新型電力システムを積極的に構築していく。

(注)発電容量(キャパシティ)であり、実際の発電量とは異なる。発電量ベースでみた再エネ比率は、中国 25.0%

(2017 年)、日本 16.9%(2018 年)、カナダ 65.6%、英・独・西・伊は約 30-35%等(出所:経産省資源エネルギー庁2020 年 9 月公表資料)。

  • 文化旅遊部、交通運輸部によると、清明節三連休(4 月 3-5 日)期間中の旅行者数等のデータは、前年同期比で大幅な伸びとなった。

在中国日本大使館経済部 中国経済週報(2021.4.1~2021.4.7)插图ヨシダ第三社検品会社 HQTS

(注)鉄道旅客数のみ 4 月 2-5 日の集計値(国家鉄道集団)。トリップ・ドットコムによると、チケット予約数は 2019

年同期比+232%となった。人気スポット上位は①上海ディズニーリゾート、②河南博物院、③上海海昌海洋公園、

④故宮、⑤洛陽龍門石窟、⑥西安鐘楼、⑦北京野生動物園、⑧黄鶴楼、⑨八達嶺長城、⑩広州長隆野生動物世界。

各種統計等の公表

IMF が世界経済見通しを公表

  • 4 月 6 日、IMF は最新の世界経済見通しを公表し、記者会見で概要以下を説明した。(1)主な変更点は、米国の大規模経済対策を踏まえた大幅な上方修正であり、これを受けて世界経済も上方修正した。

(2)中国の上方修正は、主に外的要因であり、米国を始め世界経済の需要が回復することで、輸出の増加が見込まれる。新型コロナ関連の輸出も継続するとみられる。

(3)中国は、昨年時点で既にプラス成長で、本年も高い成長率が見込まれるが、まだ公的需要の寄与が大きい不均衡な成長と言え、消費を始めとした民間需要は回復途上。本年の経済政策は、民間部門の本格的回復を支援する政策にシフトしていくべき。

在中国日本大使館経済部 中国経済週報(2021.4.1~2021.4.7)插图1ヨシダ第三社検品会社 HQTS

 

概況・マクロ経済政策

□4 月1 日、栗戦書・全人代常務委員会委員長は、生物安全法の施行に関する座談会に出席し、「総体的な国家安全の観念を堅持し、発展と安全を統一的に計画する戦略的高みから、生物安全法を全面的かつ効果的に施行すべき」と強調した。また、4 月15 日の法施行後、各地の関係部門がフォローアップを続け、視察や法執行検査等を行うよう要求した。(4/2 人民日報p1)

□3 月31 日、韓正・国務院副総理は、民用航空局空中管理局運行センターを視察した際、空中管理分野に関する第 14 次五カ年計画を科学的に編成し、業務能力を強化し、国家の空中交通管理レベルの向上を加速するよう求めた。(4/2 人民日報p1)

□文化旅遊部によると、清明節三連休(4/3-4/5)中の国内旅行者数は前年同期比+144.6%の延べ 1 億 200 万人に達した。国内観光収入は前年同期比+228.9%の 271 億 6,800 万元となった。観光客数と収入はそれぞれ新型コロナ発生前の同期の水準の94.5%と 56.7%まで回復した。(4/6 人民日報p11)

□交通運輸部によると、清明節三連休(4/3-4/5)中の交通利用者数は前年同期比+142.4%の延べ1 億4,452万人になる見込み。うち、航空利用者数は前年と2019 年の清明節連休と比較し、それぞれ+256.4%、▲10.7%となる延べ432 万8,000 人の見込み。(4/6 人民日報p11、4/5 中国青年報百度アカウント)

□4 月1 日、6 日の財新発表によると、3 月の製造業PMI は50.6(2 月比▲0.3pt)、サービス業PMI は54.3(2月比+2.8pt)。(4/1、4/6 財新)

財政

□財政部など6 部門は 31 日、貧困脱却の成果と郷村振興を有効に繋げるために、中央財政予算から前年を100 億元上回る 1,561 億元の資金を捻出すると発表した。(4/1 経済日報p8)

金融・為替

□中国人民銀行はこのほど、融資業務を取り扱う金融機構に対し、顧客に年度に換算した融資利息

率を明示するよう求めた。(4/1 人民日報 p10)

□データによると、2020 年末時点の在中外資系保険企業の数は 66 社、資産総額は 1 兆 7,100 億元に上った。また、外資保険会社の 2021 年 1 月の保険料収入は 666 億 7,700 万元、市場シェアは前年同期から+1.2 ポイントの 6.6%となった。保険料の増加率について、外資の人身保険の保険料収入は前年同期比+37.2%と、人身保険会社平均の 13.5%を上回った。外資の損害保険収入増加率は前年同期比+7.8%と、損害保険会社平均の 0.1%を上回った。(4/1 経済日報 p11)

□劉桂平・中国人民銀行副総裁は 1 日、国務院定例記者会見で、地域協調発展に対する金融支援を引き続き強化していく方針を示した。また、王信・人民銀行研究局局長は、「デジタル人民元は主に国内の小売決済用に使われるが、条件が整った時点で市場ニーズがあれば、クロスボーダー取引も実現可能」との見解を示した。孫国峰・人民銀行金融政策司司長は、通貨価値の安定維持について以下を述べた。①対内的には、金融のメインバルブをしっかりと管理することであり、近年 LPR 改革により金融政策の波及効率は顕著に向上した。②対外的には、人民元レートを合理的な均衡水準で安定させるため、人民元レートの弾力性を増加し、越境資本フローのマクロプルーデンス管理を強化し、社会の期待を誘導し、内部均衡と外部均衡のバランスをしっかり把握せねばならない。(4/2 経済日報 p3)

□網聯清算有限公司によると、清明節三連休(4/3-4/5)中のオンライン決済件数は前年同期比+34.7%の 30 億 7,900 万件、決済金額は前年比+48.9%の 1 兆 7,200 万元だった。(4/6 人民日報 p11)

□中国銀行保険監督管理委員会によると、2020 年末時における小規模・零細企業向けの再融資残高は 2 兆 2,500 億元で、前年比+56.4%となった。(4/6 国際商報 p1)

□中国人民銀行はこのほど、金融持株会社の取締役・監査役・高級管理職に対する届出登録管理制度を実施し、その就任条件・在職管理・届出登録の流れ・監督管理等の各方面の規範化に関する暫定規定を公布した。(4/2 人民銀行)

貿易・海外直接投資

□関連データによると、中国とロシアの貿易額は 3 年連続で 1,000 億ドルを突破し、中国は 11 年連続でロシアの最大貿易相手国になった。2020 年12 月、中露東線天然ガスパイプライン中段の操業が開始され、北京・天津・河北の暖房用にロシアのクリーン天然ガスが供給されるようになった。またロシア政府はこのほど、アムール天然ガスの化学工業クラスタープロジェクトに中国石化が参加することを批准した。(4/1 人民日報p3)

□高峰・商務部報道官は4 月1 日、定例記者会見で、スエズ運河の座礁事故が中国の対外貿易に与える影響は突発的・短期的・限定的なものと述べた。(4/2 国際商報p1)

□商務部は1 日、現在海南省と関連部門とともに海南自由貿易区の越境サービス貿易ネガティブリスト制定の業務を進めており、これを基礎として、越境サービス貿易ネガティブリスト管理制度の設立に向け、自貿区の発展状況に応じてネガティブリストの制定を検討する計画を示した。(4/1 商務部)

産業・企業(国有企業を含む)

□中国軽工業連合会は3 月30 日、1-2 月の軽工業の営業収入は前年同期比+42.4%(3 兆112 億7,000 万元)、利益は+92.4%(2,001 億8,000 万元)と発表した。(3/31 人民日報p10)

□国有資産監督管理委員会は31 日、国務院の承認を受け、化学大手の「中国中化集団」と「中国化工集団」が再編すると発表した。再編後の従業員数は22 万人規模になり、経営分野は生命科学・材料科学・農薬等を含め幅広い分野に及ぶ。(4/1 経済日報p8)

□上海市文化・観光局は 4 月 1 日、上海旅行産業博覧会にて、同市は第 14 次五カ年計画期間に上海旅行倍増計画を実施すると紹介した。2020 年、同市を訪ねた国内観光客は延べ2 億3,600 万人、国内観光収入は2,809 億5,000 万元であり、これをベースに観光収入総額、観光投資量、来客数1,000 万人級の観光地の数など各指標を倍増させることを目標している。(4/2 国際商報p2)

□工業信息化部によると、1-2 月の一定規模以上のインターネットおよび関連サービス企業の業務収入は前年同期比+29%の1,990 億元、利益は151 億7,000 万元となった。(4/3 人民日報p1)

□工業信息化部・農業農村部・商務部・国家エネルギー局は3 月31 日、自動車消費を安定的に増加させ、農村における新エネルギー車の普及と応用を促進し、農村住民の環境にやさしい移動を誘導し、郷村振興の推進を下支えし、カーボンピークアウトとカーボンニュートラルの目標実現を目標とし、新エネルギー車の農村における普及活動を実施すると発表した。(3/31 新華網、工業信息化部)

□商務部報道官は4 月1 日、3 月26 日に「中古乗用車輸出品質基準」など2 つの業界基準の意見募集稿を発表したことに関し、以下の見解を示した。①中国の中古車は供給が多く種類も揃っている(2020 年、中国の自動車保有量は 2 億 8,000 万台、中古車取引量は 1,434 万台に達した)、②基準の制定により中古車輸出の秩序を規範化し品質を確保することにより、中古車輸出の持続可能な発展を推し進める。(3/26、4/1 商務部)

農業・農村

□国家食糧・物資備蓄局はこのほど、連年の豊作により、現時点の食糧備蓄在庫が過去の高水準に達しており、食糧市場の安定な供給を保障する基礎は堅実との見解を示した。(4/1 経済日報p8)

□中国農業科学院農産物加工研究所がこのほど発表したデータによると、2020 年、中国の農産物加工産業の営業収入は 23 兆 2,000 万元(前年から+1 兆 2,000 億元)で、農業生産高との比率は約 2.4:1となり、農産物の加工転化率は 67.5%に達した。また科学技術による農産品加工産業発展への寄与率は 63%に達した。孫坦・農業科学院副院長は、2025 年までに農産物の加工転化率を80%までに引き上げる方針を示した。(4/2 経済日報p11)

□梁彦・国家食糧・物資備蓄局副局長は4 月2 日、現在中国の食糧安全の情勢は引き続き好転し食糧安全は保障され、生産量は高く、供給は安定し、備蓄は十分でとの見解を示した。また第14 次五カ年計画期間中に中国の食糧安全保障システムを更に強化し、特に「通路+線路+中枢+分岐点」という食糧流通の中核ネットワーク構築を一層整備していく方針を示した。(4/3 経済日報p3)

労働・社会保障

□教育部は3 月31 日、2020 年時点の全国労働力人口の教育年数は平均10.8 年とのデータを示し、2025 年

には平均 11.3 年に引き上げるとの目標を示した。(注:第 14 次五カ年計画に記載の数値と同じ)(4/1 経済日報 p8)

環境・エネルギー

□国家エネルギー局は3 月30 日、2020 年末時点の中国の再生可能エネルギー総発電設備容量は9 億3,000 万キロワットで、全体に占める割合は2012 年を14.6 ポイント上回る42.4%に達し、開発・利用規模で世界一を維持したことを明らかにした。また、再生可能エネルギー開発を更に強化し、新エネルギーを主体とする新型電力システムを積極的に構築していく方針を示した。(3/31 人民日報p1)

□第 14 次五カ年計画期間中における原子力発電建設の初事業として、海南省昌江原子力発電所第 2 期工事が3 月31 日に正式に着工した。出資者は「中国華能核電開発有限公司」で、中国核工業グループも参画している。(4/1 人民日報p1)

□国家発展改革委員会は31 日、4 月1 日零時からガソリンと軽油価格をトン当たりそれぞれ225 元と220 元引き下げると発表した。今回は2020 年11 月19 日以降初の値下げとなった。(4/1 経済日報p7)

□国家石油天然ガスパイプ公司はこのほど、中国石油天然ガスグループからその傘下の「北京天然ガスパイプ公司」と「大連液化天然ガス(LNG)公司」の管轄権を獲得したことで、全国における石油・天然ガスの輸送・貯蔵インフラ整備が進められ、全国の主幹パイプネットワークの一元化管理が実現されたと発表した。(4/1 経済日報p7)

□水利部は3 月31 日の定例記者会見において、10 月 11-24 日に昆明で開催予定のCOP15 第15 回、生物安全議定書、遺伝資源議定書締約国会議に向けて準備が進められており、主催国協議の全215 条項について公約事務局と基本的に一致しており、「生態文明フォーラム」開催を含む8 つの活動の並行実施を決定した等と紹介した。(3/31 中国政府網)

科学技術・イノベーション

□中国の電波望遠鏡「中国天眼」(FAST)は、3 月 31 日から世界の科学者に観測申請の受付を開始した。国外全てのプロジェクト申請は統一的に評価・審査され、結果は 7 月 20 日に発表され、観測は 8 月から開始される予定。「中国天眼」は現在世界最大で、もっとも感度の高い単一口径電波望遠鏡であり、100 億光年以上の電波信号を受信することが可能。(3/31 新華網)

主要国との経済関係

□3 月25-31 日、中国とシンガポールは、貿易協定(FTA)グレードアップ協定の第1 回フォローアップ交渉を実施した。双方は、越境サービス貿易や投資、電気通信などの規則を巡って踏み込んだ協議を行い、サービス貿易と投資自由化交渉の関連問題についても意見を交換した。交渉は前向きな進展を得た。(4/1 国際商報p1)

□3 月 30 日、孫春蘭・国務院副総理は、「中医薬と新型コロナ肺炎感染症の国際協力フォーラム」(外交部と国家中医薬管理局の共同主催、オンライン・オフライン形式)において、新型コロナ肺炎との戦いで中医薬は「三薬三方」(清毒排毒湯、化湿敗毒方、宣肺排毒方、金花清瘟カプセル、血必浄注射液)等一連の有効な漢方療法を実施し、その効果は実践により証明されと指摘するとともに、引き続き各国とともに中国医薬の基礎理論・臨床治療・国際基準等の面で協力を深め、伝統医学と現代医学の優位性の相互補完、交流と参考を促進すると指摘した。会議にはジンバブエ大統領・ムナンガグワやウクライナ副総理・ステファニシナ等28 の国と地域の政府要人やWHO 代表や専門家が参加し、ビデオ形式で交流した。(3/31 外交部など)

□外交部の4 月2 日の定例記者会見によると、上海協力機構(SCO)のノロフ事務局長並びに20 以上の国の在中外交使節及び外交官の一行30 名余りは、中国政府のユーラシア事務特別代表・李耀大使の同行の下、新疆ウイグル自治区(ウルムチ・カシュガル・アクス)を訪問し、新疆のテロ対策及び脱過激化闘争テーマ展・ウルムチ国際大バザール・カシュガル古城・エイティガールモスク・柯柯牙緑化工程記念館等を視察したほか、新疆の大型企業やウイグル族家庭を訪問した。 (4/2 外交部)

□国務院新聞弁公室は4 月 6 日、「人類貧困減少の中国の実践」白書を発表した。郷村振興局は、同日の記者会見において、過渡期も引き続き動態的な貧困認定を行い、自己申告・末端組織・業界のビッグデータを利用して貧困者を認定し、的確な貧困支援を行う方針を示した。(4/6 新華網)